演出 岩瀬よしのり氏に聞く

山口:お疲れ様でした。四日市ラプソディオーディションから約8か月、その前からだと約1年以上関わられたと聞いています。この作品を演出する中で、特に苦労された点はありますか?

岩瀬:この作品は原作が粟屋かよ子さんという方なのですが、ご覧になってお分かりの通り「四日市公害」をテーマにした作品です。「四日市公害」というと今から50年ぐらい前のことになるわけですね。私自身も小学生ぐらいのことで、かなり昔のことです。そのために周りからは「なんで今さら?」「もう過去のこと」という声が聞こえてきました。しかし「歴史から学ぶ」ということは、とても大切なことです。ですから、現代に生きる皆さんと「四日市公害の歴史」をどう繋げるのかというこの点が、最も悩んだ点でした。

山口:なるほど。でも、その点は見事に成功していたとおもいますよ。公演を観終わってロビーに出ると、たくさんの皆さんが涙を浮かべて出演者に「感動した」と口々に言っていましたし、私自身も会場を出て空を見上げながら「あぁ この空もあの頃と繋がっているんだ」などとなんとなく爽やかな気持ちになりました。

岩瀬:ありがとうございます。そう言っていただくととても嬉しいです。

山口:舞台装置もお作りになったそうですね。

岩瀬:舞台装置といってもそんな大掛かりな物ではありません。18個の黒塗りのダンボール箱、これは出演者に子どももいるのでできるだけ軽い素材を選んだわけです。それを、様々なものに見立ててみました。ある時は堤防だったり工場だったりと・・・その組み立てもスタッフではなく出演者がやるという風にしました。基本、全て「人業(ひとわざ)」で進めていくという様式です。もっとも、これは出演者にとって思ったよりも大変な作業だったわけですが・・・

四日市ラプソディ練習風景
ラプソディ練習1

山口:そうでしたか。終わりの方で恵役の子がトランペットを独奏して現代のお母さんと仲直りする場面が印象的だったのですが、あの場面はどういう風に創られたのですか?

岩瀬:原作にはあの場面はありませんでした。現在の孝子が「このこと(四日市公害の経験)を生かしていってください」という言葉で結ばれていました。ただ、それだけではなんとなく物足りなく感じていたのです。そんなとき恵役の女の子が「私、トランペット吹けるんよ」と・・・それでトランペットを吹く恵と(現在の)母親が「仲直り」する場面を作ったのです。「救い」という意味もありますが、「歴史を受け継ぐ」というイメージもダブルアップさせたつもりです。こんな風に出演者からヒントをもらって作った場面はいっぱいあります。出演者一人一人は、もちろんアマチュアですが生活者としての表現力はそれぞれ持っているわけです。その力を生かして創り上げたのが今回の作品です。

山口:今日はお忙しい中、ありがとうございました。

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四日市ラプソディPV 1分14秒